基本用語
労働者
労働基準法第9条に「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定されています。
常用、日雇、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、労働の対償として賃金を受けるすべての者が対象となります。
使用者
労働基準法第10条で規定する使用者とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」とされています。
労働者を雇用して事業を行う事業主はもとより、事業主とともに経営を担当する者(取締役など)や労務担当者・人事担当者・工場長などが含まれます。
なお、労務担当者・人事担当者・工場長などは、場合により使用者でもあり労働者の立場にもなり得ます。
労働条件の原則
労働基準法 第1条では、以下のように定められています。
1項 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」
2項 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として 労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」
1項の【人たるに値する生活】とは、日本人の標準的な家族の生活を基準としたものです。
これは憲法25条※に由来しています。
2項には【この基準を理由として労働条件を低下させてはならない】とありますから労働条件の改悪は労働基準法違反と言えます。
労働条件を低下せざるを得ない場合には、その理由が労働者(世の中や社会と言ったほうがいい)に受け入れらるものでなければなりません。
例えば、経済状況の悪化や企業経営の悪化で労働条件を低下させなければ雇用が守れないなどの理由であればしかたありません。
※憲法第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
労働基準監督署
労働基準監督署とは、労働基準法等を遵守するよう事業者等を監督する機関です。労基署、労基、監督署などとも呼ばれます。
労使協定
労使協定とは、使用者と労働者の代表者が結ぶ書面による協定のことです。
労働協約
労働協約とは、賃金、労働時間などの労働条件や、組合活動などの労使関係のルールについて、使用者と労働組合が取り交わした書面による協定のことです。
労働条件通知書
労働条件の内容を契約書として書面にしたものです。賃金、労働時間、その他定められた事項については、書面によって明示しなければならないと決められています。
管理監督者
管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいいます。なお、それは部長、店長などの名称ではなく、実体で判断されます。
管理監督者については、労働時間、休憩、休日の規定が適用されないこととされています。
労働者名簿
労働基準法 第107条では、労働者名簿について次のように定めています。労働基準法 第107条
1項 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
2項 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。
つまり、事業場ごとに以下を記入した労働者名簿を備え付けなければなりません。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- その他厚生労働省令で定める事項
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日とその事由(退職の事由が解雇の場合、解雇の理由も含む)
- 死亡年月日及びその原因
なお、市販の古い書式の労働者名簿には「本籍地」の欄が設けられている場合がありますが、必要ありません。
また労働者名簿は退職後3年間保存義務がありますので、退職後即廃棄しないようにご注意ください。